電子回路の中に含まれる様々な部品に適切な電圧を供給する電源IC(電源管理集積回路)の多くに含まれるDC-DCコンバータの概要と選び方について解説します。DC-DCコンバータはその名の通りDC(直流)を異なった電圧のDC(直流)に変換する機器で、元の電圧より高い電圧に変換する昇圧コンバータと、元の電圧より低い電圧に変換する降圧コンバータがあります。
目次
DC-DCコンバータとは
▲AC/DCコンバータの例
私たちが家電製品を使う際はACコードをコンセント(100V電源)に差し込みますが、100Vの交流電源をそのまま使用しているわけではなく、AC(交流電源)をDC(直流電源)に変換して複数の電気回路や電子回路に供給されています。
このようにACからDCへの変換を行っているものをAC-DCコンバータと呼びます。身の回りではノートPCなどのACアダプターがなじみ深いかと思います。
では直流から直流に変換するDC-DCコンバータはどのような役割があるのでしょうか。
▲DC/DCコンバータの例
上記の図はノートPCへの電源電圧供給の例です。
電気製品とっても中の電子回路に含まれる様々な部品はそれぞれ異なる電圧で動作するため、必要な電圧に変換して供給する必要があります。元の直流電源を必要な電圧に変換し、安定して供給し続けるのがDC-DCコンバータの役割です。
変換方式
DC-DCコンバータで電圧を安定させる「電圧レギュレータ」は変換の方式によってリニアレギュレータとスイッチングレギュレータの2種類に分けることができ、それぞれ特徴が異なります。
リニアレギュレータ
制御素子で降圧するため、入力と出力の電圧差(降圧度合)が大きいと損失が大きくなり効率も悪くなります。小電力向けの電源に適しています。
回路設計が簡単でノイズが少ないなどのメリットがありますが、変換効率が悪く発熱が大きいというデメリットがあります。またその特性上、入力電圧より低い電圧を作る降圧コンバータのみになります。
スイッチングレギュレータ
出力電圧が必要な電圧になるまでスイッチ素子(MOSFET)をオンにし電力を供給します。出力電圧が規定値に達するとスイッチ素子はオフになり、入力電力を消費しません。この動作を高速に繰り返すことで、出力電圧を規定値に調節します。
変換効率が良く発熱が少ないなどのメリットがありますが、外付け部品が多く設計が難しいといったデメリットがあります。
- 降圧コンバータ
- 昇圧コンバータ
- 昇降圧コンバータ
- マイナス(負)電圧を作る反転コンバータ
と様々な出力形式があります。
DC-DCコンバータの選び方
入力電圧・出力電圧
制作する回路に応じた入力電圧・出力電圧のものを選びましょう。当然ながらここが合っていなければコンバータの目的を果たせないばかりか故障や事故の原因となります。
最大アンペア数
製品ごとに最大何アンペアの機器まで使用できるかが決まっています。多少余裕を持ったスペックのものが良いですが、余裕を持ちすぎると効率が出ないこともあります。
寸法
コンバータそのものの高さや長さ、幅もチェックしておきましょう。大きすぎて取り付けられなかったら本末転倒です。
Raspberry Piへの実装も
IoT開発用の安価なシングルボードコンピューターとして人気を博しているRaspberry Piですが、中にはハードウェアレベルで改造してしまう電子工作ガチ勢の方も。
- Raspberry Piをハード的にいじる。 DC/DCコンバータを実装するには? | minicubeな日々
- 中級コース : RaspberryPi を改造してみましょう。 | Alice In Underground
電源までいじることができれば使ってみたいパーツを追加したりとカスタイマイズの自由度が飛躍的に向上します。電子工作が得意な方や好きな方は挑戦してみてはいかがでしょうか。
※ハードウェアレベルでのカスタマイズ、特に電源関連のカスタマイズには相応の知識と準備が必要です。危険な改造や作業は故障や事故の原因になりますので十分に注意しましょう。当サイトでは責任を負いかねます。