線路沿い物件の見極め方【線路沿い物件はここがポイント!】

線路沿いの物件は当然ながら電車の騒音が激しいだけでなく、粉塵が舞って洗濯物が汚れやすかったり、窓が線路側であれば電車内から部屋が見えてしまったりとデメリットが多いですが、その分家賃はかなり安めです。

この記事ではそんな線路沿い物件の見極め方についてまとめました。

※線路までの距離について特に記載がない場合は、線路まで5m~10m程度のガチ線路沿いについて記載しています。というか100mも離れてる物件なら”線路沿い”とは言わんよねって感じです。

目次

建物の構造

建物の構造は大きく分けて3種類あります。

  • 木造
  • 鉄骨造
  • コンクリート造(RC造、SRC造)

予算や他に良い物件が見当たらないなどの関係から、どうしても線路沿いの物件を選ぶなら、構造は断然コンクリート造(RC造、SRC造)です。

というのも木造と鉄骨造は柱や梁の材質が異なるだけで、壁の材質は変わりません。鉄骨造の方が柱が太くなりやすいため、それに合わせて壁も厚くなる傾向にありますが、電車の走行音からすれば誤差レベルです。

それに対しコンクリート造は外壁がすべて防音性の高いコンクリートでできています。気密性が高いため断熱性能にも優れますが、防音性能も木造や鉄骨の比ではありません。

また、線路沿いで気になるポイントとして、電車の走行音だけでなく振動まで伝わってくる、というものがありますが、こちらもコンクリート造であれば建物自体が重く強固なためほとんど揺れません。全く揺れないと言っていいほどの物件もあります。

騒音や揺れへの耐性によほど自信がある方は別として、ほとんどの人は線路沿いで物件を選ぶならコンクリート造を選ぶことをおすすめします。

カタンコトン音がする場所かどうか

実は線路沿い物件は「住んでみたら慣れる派」と「絶対無理すぐに引っ越した派(あるいは無理して身体を壊してしまった派)」に分かれます。もちろん個人差による部分も大きいのですが、これは”線路沿い”と一口に言っても場所によって全く騒音が異なるのが大きいと私は思っています。

その中で最大のポイントが「カタンコトン音」の有無です。

電車の音には大きく分けて次の2種類があります。

  • 走行時に風を切る音(ゴォォォー)
  • レールの継ぎ目を通過する時に車輪がレールを叩きつける音(カタンッコトンッ)

このうち走行音の方は窓を閉めれば気にならない方が多いのではないかと思います。実際、私が2年以上住んでいた武蔵浦和の物件は線路沿いだったのですが、近くにカタンコトンポイントがなく、走行音しか聞こえなかったので、まったく気にせず過ごすことができました。今回物件探しの参考に確認するまで、線路沿いだったことを忘れていたほどです。

しかし川越の線路沿いに住んだ時は3本通っている線路の1つにカタンコトンポイントがあり、人がほとんど乗っていない時間の各駅停車(カタンコトン)くらいならまだしも、通勤快速ともなると重さも速度も段違いで耐えられたものではありませんでした。(カタンッ!!コトォーン!!!)

このように同じ人間でも耐えられる線路沿いと、耐えられない線路沿いがあります。耐える耐えないというか、「耐える」「我慢する」となった時点でおそらくアウトで、「気にならない」のであれば住めると考えた方が無難です。

走行音だけであれば今時の電車はかなり静かなので、窓を閉めてしまえば気にならない方もそれなりにいると思います。

また、いくつか線路沿いの物件を見てみたのですが、総じてJR東日本の線路の方が私鉄よりも静かな印象を受けました。レールに継ぎ目があっても凹凸が小さいのかカタンコトン音も小さかったり、住宅街側にコンクリート塀を設置してくれているところもありました。やはり持っているカネが違うのでしょう。

もちろんJRだからすべてOK、というわけではありません。線路沿いの物件は難しいので、住むのであれば必ず実際に現地に見に行ってみることをおすすめします。

また、音には人の好みによる個人差も大きいらしく、人によってはカタンコトンよりも走行音の方が気になる、ということもありえます。(個人的にはほとんどの人はカタンコトンの方が気になるんじゃないかと思うけど)

線路の本数

上記の理由と少し被るのですが、複数路線が走っている線路沿いは厳しい可能性が高いです。

まず、複数路線走っているということはそれだけ上記のカタンコトンポイントが近くにある可能性が高くなります。実際私が住んでいた川越の物件は、近くを走っている3路線のうち2本はカタンコトン音がしないのですが、残る1本だけ、かつ急行以上だけが問題でした。

実は技術の進歩でカタンコトン音がする場所は減っている(レールが長くなり継ぎ目が減ったため)らしいのですが、それでも複数路線が走っている場合はたいていカタンコトンポイントがあります。

また、これは意外だったのですが、通過する電車の本数が多いのは意外とダメージになります。

最初、私の考えは「気になるなら本数少なくても気になるし、気にならないなら多くても関係ないだろう」と思っていたのですが、在宅ワークなどで家に長くいる場合、耳に音が残り空耳が聞こえるようになったり、平衡感覚が少し狂ったり、めまいがしてくることもありました。

こればっかりは住んでみないとわからないのですが、線路が何本も通っている場所だとその分本数も増えるため問題になる可能性は高まります。

踏切の有無

近くに踏切がある場合、遮断機の「カンカンカン…」という音が聞こえてきます。また、スーパーやよく行くお店に行くために踏切を渡らないといけない場合、頻繁に踏切待ちが発生してストレスになる場合があります。

これも私が意外だったポイントがあります。以前住んだ物件の近くには踏切もあったのですが、RC造の物件だったので窓を閉めると踏切の音はほとんど聞こえず、「これは確実に気にならないな」と思っていたのですが、何時間もずっと聞いていると、鳴っていないときまで頭の中で「カンカンカン…」という空耳が聞こえるようになってしまいました。

※遮断機が鳴っている時間>鳴っていない時間くらいの、ずっと鳴りっぱなしの場所でした。

なるべく踏切の近くは避けた方が無難ですし、特に在宅ワークなどで家にいる時間が長い方は避けた方が良いと思います。

※ぶっちゃけ川越の物件に関しても、私が外に働きに行っていれば普通に住めたと思います。ずっと聞きっぱなしなのとそうでないのはかなり違います。

線路までの距離

当然ですが線路までの距離が離れれば離れるほど音は小さくなります。

実際にどれくらい減衰するかは音の大きさや周波数帯、間にある建物の数や大きさや材質など様々な要素によって異なるのですが、一般的な目安は下記の程度です。

距離(m) 減衰量(db)
4 12
8 18
16 24
32 30
50 34

電車の通るガード下の音が約100db、走行中の電車内の音がだいたい80db。それに対し一般的な生活に問題ないとされる水準が40~50db程度なので、50mも離れればかなり生活に現実的なレベルまで減衰してくれることがわかります。さらに窓を閉めれば、窓やサッシの質にもよりますが15~20db程度減衰します。

余裕を持って100mも離れれば、ほかになにか特殊な事情がない限りまず気にならないと思っていいでしょう。ただし100mも離れればもはや線路沿いではないため、線路沿い特有の割安家賃ではなくなります。

線路と物件の間にどれくらい建物があるか

こちらも当然ながら、間に建物が挟まっていればいるほど、基本的には音が減衰します。単に建物の数だけでなく、その大きさや高さ、材質などによっても減衰幅は異なります。

わかりやすい例としては、縦にも横にも大きくまずコンクリート造である、大型のショッピングセンターが1軒挟まっているだけでもかなり減衰しますが、小さな木造の小屋が建っているくらいではほとんど減衰しません。

必ず内見に行って部屋の中で音を聞いてみること

色々書きましたが、最終的には必ず内見に行って、実際に部屋の中で音を聞いてみましょう。その際の注意点を書いておきます。

全路線聞くこと

複数路線通っている場合はすべての線路の音を聞いておきましょう。1本だけうるさい線路がある、というパターンは全然あります。

帰宅ラッシュの時間帯に行くこと

通勤時間帯は不動産屋さんに付き合ってもらうのが困難ですが、帰宅ラッシュ時であれば内見に付き合ってくれる不動産屋さんもいます。

基本的には列車の重量と速度が増すほど音も大きくなるのですが、どのくらい大きくなるのか、そしてその音が気にならないレベルなのかどうかは実際に行って聞いてみるしかありません。通勤快速がこんなにもうるさいと思わなかった、というパターンも往々にしてありえます。

窓を開けた状態、閉めた状態でそれぞれ聞くこと

線路沿いに住むなら基本的に窓は閉めっぱなしになると思いますが、まったく開けないというわけにもいかないでしょう。洗濯物を干す時など、しばらく電車の音を聞きながらになるので、開けた状態と閉めた状態、両方の音を確認しておきましょう。

両方の音を聞き比べることで、建物がどの程度音を減衰してくれているのか(建物自体の強さや気密性、隙間が極端に多くないかなど)もある程度推測ができます。

二重窓やシャッターなどの防音施工はされているか

音が一番入ってきやすいのが窓です。建物自体の防音性がいくら高くても、窓が通常のものだとそこから音が入ってきてしまいます。(それでも建物が強固だとかなり減衰はされますが)

線路沿いの物件は二重窓になっていたり、窓の外にシャッターが付いていたりと防音施工されていることも多いのですが、されていない物件もあるため確認しておきましょう。

ベランダや共用部の汚れ具合も確認

線路沿いだとどうしても電車の風圧でゴミや粉塵が飛んでくることがあるようです。幸い私が住んだことのある物件は両方ともベランダが線路と反対側にあり、そういった問題にはならなかったのですが、もしもベランダが線路沿いで高さも近い場合、洗濯物を干すのは難しいかもしれません。

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