リモートワーカー、フリーランスが首都圏に拠点を移す(引っ越す)時の物件のチェックリストです。基本自分用なので万人に当てはまるわけではありませんが、それぞれ理由も添えてあるので参考にはして頂けると思います。
日本で管理人が住んだことのある場所は地方では富山県富山市と兵庫県明石市、関東圏では荻窪(中央・総武線)、上板橋(東武東上線)、東長崎(西武池袋線)、渋谷(いろいろ線)、武蔵浦和(埼京線)と、フラフラしてきた分引っ越し回数が多く、それなりに知見は溜まっています。
目次
この目次がそのままリストとして使えます。
- 物件の探し方
- 交通
- 物件本体
- 希望の家賃相場を決める
- 建物の構造
- 築年数(1981年以降か、2000年以降か)
- 1K以上(せめてキッチンと部屋は分けたい)
- 自炊できる環境はあるか
- 洗濯機置き場は室内
- ベランダに洗濯物を干すスペースはあるか
- クローゼット付き
- 2階以上、できれば3階以上
- エレベーターの有無
- エアコンはあるか、新しいか(古すぎると電気代が高くつく)
- ペットの可不可
- ゴミ捨て場はどこか
- インターネット無料の物件は避ける
- 1階が飲食店の物件は避ける
- 特殊な間取りではないか
- 定期賃貸借の物件はちょっと悩ましい
- 近隣施設
- 妥協ポイント(私の場合)
物件の探し方
何も考えずに行き当たりばったりでは物件を調べるのも大変ですし、非効率です。
まずは物件選びについての前提と、大まかな流れをざっくり把握しておきましょう。
不動産屋はあなたの味方というワケじゃない
大前提ですが、不動産屋は別にあなたの味方ではありません。
不動産屋(仲介業者)は立場的に、物件を貸し出したい大家さんと、物件を借りたい我々の間に入ってくれる調整役です。ノルマがあったり、契約を取ればインセンティブが発生することが多いため、どちらかと言えば管理会社や大家さん側の味方だと思っておいた方が無難です。
もちろんこちらの希望に全然合わない物件を勧めても契約には至りづらいため、こちらの希望をもとに探してはくれますが、こちらが2つの物件で同じくらい迷っていたら、他の人だと決まりづらそうな方を勧めてきたり、こちらが見逃したデメリットはあえて口にしなかったり、くらいはあるでしょう。
そのため不動産屋に相談する前に、こちらの条件や指針をハッキリさせておくのが重要です。
物件探しのプロセス
基本的に
- 希望条件チェックリストを作る
- ネットで条件に合う物件を絞り込む
- 絞り込んだ物件から特に気になった物件を候補としてメモする
- Googleマップで周辺環境のチェック
- 口コミサイトもチェック(ただし参考程度)
- 実際に内見に行く物件をいくつか(3つ程度)ピックアップ
- 不動産屋に連絡、内見をさせてもらい、ネット上ではチェックしきれなかった部分をチェック
という流れです。
いきなり不動産屋に相談してもこちらの希望条件がふわっとしていると最適な物件を紹介してもらうのは難しいですし、何度も内見に行って「なんか違う…」となっていては非効率です。
また、不動産屋も商売ですので、こちらの出した条件を元になるべく向こうが売りたい物件を勧めてくるのが自然です。中には親切な人もいるかもしれませんが、相手に頼りっきりになるのは取り引きにおいて極めて不利です。
こちらの条件や指針がはっきりしていれば、流されて納得のいかない物件を選んでしまうリスクは小さくできます。
▲例:不動産賃貸仲介大手エイブルさんの条件検索。あらかじめ条件を決めてからこのように条件検索で物件を探していきますが、指定できる条件だけでは不十分なので、先に自分の条件リストを作るのがおすすめです。
ちなみにポータルサイトごとの特徴ですが
- SUUMO:一番物件数が多い。既に決まってしまっている物件がまだ掲載されていることがたびたびある。数が多いのでエリアごとの相場観が養える。
- ホームズ:物件の住所が掲載されているので、SUUMOで気になる物件があったらホームズで住所を出してGoogleマップで周辺環境の調査。
- エイブル:たぶん慣れのせいですが、条件選択やUIが個人的にもっとも使いやすい。
ほかにもいろいろありますが、私は上記の3サイトを使いました。
※某不動産Gメン曰く「ポータルサイトで探すより、実際にその土地を歩き回って地元の不動産屋に聞いて回った方が良い物件が見つかりやすい」らしいので、次引っ越す際はその方法も試してみようと思います。いずれにせよ予め希望条件ははっきりさせておく必要があります。
ということでチェックリスト本体に入ります。
交通
まずは希望のエリアを決めます。
「関東圏じゃい」とか雑に決まっていても物件どころかエリアさえ多すぎて絞り込めません。
もっと絞り込んでいきましょう。
在宅ワーカーの利点
リモートワーカー・在宅ワーカーと通勤する人で一番賃貸物件の希望条件に差が出るのが交通面です。毎日通勤・通学する人にとって交通の便は死活問題ですが、リモートや在宅ワーカーの場合、交通面の重要性が劇的に下がります。(週2出社とかだとだいぶ悩ましいです。)
通勤・通学がある人の場合、目的駅のすぐ近くに住むか、ガッツリ離れた始発駅から乗り換えなしで座って通勤する、のどちらかを選ぶのが最適解だと私は結論付けていますが、リモートや在宅ワーカーの場合、交通アクセスの悪いエリアを選ぶことで家賃が割安な物件を探す方が満足度が高いと思います。(限度はありますが)
そのぶん家にいる時間が長くなるため、RC造、エレベーター付き、築年数が浅い(建物や部屋の設備が新しいので快適)、など他の条件にこだわった方が良いでしょう。
となると通勤・通学する人とは真逆の
- 栄えている駅まで乗り換えが必要
- 各駅停車駅
- 始発がない
そういう最寄り駅の近くで探した方が良い物件に出会える可能性が高いです。
用途地域
一番は住居地域で(これももっと細かく分類できるのですが)、住居のほかに中小規模のスーパーやホテル、運動施設、その他店舗・事務所などが建てられます。
準住居地域になってくるとカラオケボックスや映画館、ごく小規模な工場などが建てられるようになり、商業地域になってくるとパチンコ屋やラブホテルなども建てられるようになります。
準工業や工業地域だと工場が建てられるため、騒音や異臭に悩まされる可能性が出てきます。いずれも既に建っているものは内見時に周辺を散策すれば確認できますが、用途地域にそぐうものは後から建てられる可能性もあるため確認しておいた方が無難です。
物件本体
希望の家賃相場を決める
そりゃ家賃は安ければ安いほどいいのですが、非現実的な条件を出しても取り引きは成立しません。というか向こうからしても非現実的な商品(物件)の在庫は持っていません。
ネットで希望のエリア、例えばよく行くのが渋谷で、埼京線沿いで探そう、と決めたら、板橋、十条といった急行の止まる駅、そして赤羽、武蔵浦和、大宮、指扇…といった具合に始発駅を順に、希望の家賃で検索していきます。
この工程で各エリアというか、最寄り駅ごとの家賃相場がわかってきます。
希望の家賃で1件もヒットしないなど明らかに予算オーバーな最寄り駅は候補から外していき、ある程度の件数がヒットする駅になったところで目的地まで電車で何分かかるかを検索します。Googleで「渋谷 高麗川」といった具合で検索すれば出てきます。
ここでもし時間がかかりすぎるようなら、例えば60分以内がいいのに90分かかってしまうようであれば、別の路線を探すか、予算を見直す必要があります。
別の不動産屋の検索サイトを使ってみるのも手ですが、ポータルサイトであればどこもあんまり変わりません。というのも不動産を貸し出す側は多くの場合一般媒介契約というのを結んで、複数の不動産会社に仲介を依頼するためです。
地元密着型の不動産屋であればそこでしか取り扱っていない物件(専任媒介)もそこそこあるのかもしれませんが、極力自力で調べてから取り引きに臨む私のやり方とは合いません。
最寄り駅の候補と予算が合いそうなエリアを見つけたら、物件本体についてより具体的に絞り込んでいきましょう。
建物の構造
建物の構造は大きく分けて4種類あります。
- 木造
- 軽量鉄骨造
- 重量鉄骨造
- コンクリート造(RC造、SRC造)
下に行くほど耐震性が高く、耐用年数が長く、コンクリート造なら耐火性や気密性・防音性も優れていますが、値段も高くなる傾向にあります。
おすすめは断然コンクリート造です。高いですけど。
首都圏には特殊な人が多いというか、特殊な職業を目指す人が集まってくるため、隣人の騒音に悩まされる可能性が気になります。
私が以前住んでいた荻窪のアパートは木造だったのですが、隣に住んでいた人はたぶん役者の卵で、夜は大声でセリフの練習が聞こえてきました。たまたま当時の私は家にいる時間が極めて短かった(22時に帰宅して翌朝2時に出社)ためさほど気になりませんでしたが、人によってはかなり気になったと思います。
また、上板橋に友人と2人で住んでいたころ、斜め上の部屋にバンドマンが住んでいたのか、部屋で楽器の演奏やアンプの重低音(?)がたびたび聞こえてきたこともあります。私は音楽はよほどうるさくなければ気にならないのですが、友人は耐えきれなくなったらしく癇癪を起こして部屋の壁を蹴り破ってしまいました。
武蔵浦和のコンクリート造のマンションには2~3年ほど済んだのですが、驚くほど快適でした。というか内見の時点で壁をコンコン叩いてみたのですが、全く違うのがわかりました。木造や鉄骨造は壁を叩くと音が響くのですが、コンクリートの壁は「コッ」となって音がそこで止まります。
※小ネタですが、RC造でお手頃な値段の物件は古いものが多いです。RC造はバブル期の建設ラッシュ期に建てられた物件が多いためです。
RCマンションは建てるにも壊すにもお金がたくさんかかるので、その後の失われた30年ではRCマンションを建てようという人が少なかったわけです。
築年数(1981年以降か、2000年以降か)
築年数はもちろん新しければ新しいほどいいのですが、その分値段も高くなります。ただ明確におすすめ基準があって、それは建築基準法における耐震基準が変わった1981年6月1日と、2000年6月1日です。
1981年5月までの旧耐震基準:当時10年に一度程度発生すると考えられていた『震度5強程度の揺れに対して、家屋が倒壊・崩壊しない』という基準です。
1981年6月1日以降の新耐震基準:1978年に起こった宮城県沖地震の被害を受けて建築基準法が改正。『震度6強~7程度の揺れでも家屋が倒壊・崩壊しない』ことを基準としています。
※実際に1995年に起こった阪神・淡路大震災では、新耐震基準で建てられた建物の7割超は軽微・無被害で済んでおり、旧耐震基準の建物と比較して重大な被害は免れています。
2000年6月1日以降の2000年基準:阪神・淡路大震災を受けて建築基準法がさらに大きく改正。『耐震等級1の取得が必須(震度6強~7レベルの大地震が発生してもすぐには倒壊せず、避難するための時間が取れるレベルの強さ)』。
なんとなく古い物件はいや、という曖昧な基準よりはこちらに合わせた方が合理的です。
1K以上(せめてキッチンと部屋は分けたい)
※自炊をする場合
上京したての頃、私にとっては部屋は「飯食って風呂入って寝るだけの場所」だったので、安いワンルームを選んでいたのですが、やはり扉一枚でいいのでキッチンと部屋は分けたいです。
ワンルームだと部屋の中にキッチンがあるので、固いものを切った時の切れ端や野菜の種が飛んでしまったり、炒め物をすると油が飛んでしまうことになります。
あまり気持ちいいものではないですし、掃除も大変というか、完全に掃除しきれるものでもありません。扉一枚隔てているだけでも全然違うので、キッチンと部屋が分かれた1K以上がおすすめです。
自炊できる環境はあるか
※自炊をする場合
田舎育ちの私には発想すらなかったのですが、首都圏の物件には「料理をするためのキッチン」のほかに、「料理をすることを想定していないキッチン」があります。
具体的には
- まな板を置くスペースがない
- 洗った食器を乾かすスペースがない
といったものです。
というかワンルームのキッチンは基本的に料理をするためのキッチンじゃないというか、せいぜいお湯を沸かしてカップ麺を作るくらいしか想定されていません。
そして1Kのキッチンにもこのタイプのものは多いです。
まな板を置く台や食器乾燥棚はホームセンターでも買えますが、いかんせん水分が落ちる場所だけに、物理的なスペースが足りないと厳しいものがあります。
キッチンは内観写真で見れることも多いですが、実際の内見でもしっかり確認しておきましょう。
▲典型的な激狭キッチン。まな板を置くスペースがないため、具材をすべて切ってからコンロを使うことになる。炒め物はまだしもカレーや鍋はお湯を沸かす時間もかかるため絶望的。
▲激狭キッチンパート2。一見悪くないように見えるが、まな板を置くスペースを確保するためにただでさえ狭い流しを究極まで狭くしており、フライパンや鍋を洗うのにめちゃくちゃ苦労する。
▲賃貸物件の1Kでは理想的なキッチン。流しも究極撃狭ではなく、まな板を置くスペースもあって、コンロも2口。まともに自炊する気ならこれがほしい。ちなみにこれでも6万円台の物件(2024年8月時点)。
洗濯機置き場は室内
コインランドリーという手もありますが、2年以上住む前提なら洗濯機を買った方が良いと思います。
コインランドリーの費用もそれなりにかかるので2年分あれば安い洗濯機なら変えてしまうこと、コインランドリーだと洗濯物を持って往復の手間や、洗いたいときに空いていない、ノロウイルス等の感染リスク、など考えると自宅に洗濯機を置く方がいいと私は思います。
まれに室外(ベランダ)に洗濯機置き場がある物件があるのですが、ベランダだと風次第で雨が吹き込みます。
- 雨予報の日は洗濯できない
- 洗濯機を回して外出した時に突然雨が降ったら洗濯やり直しになる
- そもそも洗濯機が濡れるので傷みやすいし、汚れる
といったことを経験しました。
洗濯機置き場は室内にある物件がおすすめです。
ベランダに洗濯物を干すスペースはあるか
ベランダがあるからといって必ずしも洗濯物を干すのに十分なスペースがあるとは限りません。実質的に活用困難な空間しかない場合もあります。(室外機を置くためだけのスペース)
多くの物件には申し訳程度には物干し竿をひっかける場所がありますが、実際に服を干して外の壁に当たらない程度のスペースがあるかはチェックしておきましょう。
特に物干し竿の高さは要注意です。竿をかける場所がなぜか低めになっている物件は多く、ロングTシャツ程度なら床に着いてしまって実質干せない物件もありました。
これもホームセンターで突っ張り棒などを買ってきて代用できる場合もありますが、その場合もひっかける壁や設置するスペースが必要です。
▲奥行きのないベランダ。これだと洗濯物を干しても壁やドアにあたって汚れてしまう可能性が高い。
クローゼット付き
クローゼットは便利です。
一人暮らしだと洗濯物を畳むのは手間も時間も大きいのですが、クローゼットであればハンガーにかけるだけ。洗濯物を干す時はハンガーにかけて干すわけなので、干していたものをそのままクローゼットに突っ込むだけで済みます。
これもホームセンターで突っ張り棒を買ってくるなどして代用はできるのですが、突っ張り棒がうまくはまるスペースがあるかどうか、あったとして衣服を吊るすのに十分なスペースがあるとは限りません。
しかも突っ張り棒に適したスペースがあるかどうかというのは写真では判断しづらい部分もあり、実際に内見に行くまで確信は持てません。
クローゼットの有無はたいてい物件検索のチェックボックスにあるので、最初からクローゼットのある部屋を選んだ方が早いし無難です。
▲クローゼットは便利。「物入れ」や「押し入れ」タイプだと洗濯物を毎回畳まないといけないので手間。
必殺技として、いっそ収納がない代わりにスペースに余裕がある物件に住んで、組み立て式のクローゼットを自分で買って置くという手段もあります。
2階以上、できれば3階以上
単純に1階の方が犯罪リスクが高いです。その気になれば窓を割って侵入できてしまいます。
また、下の階ほど例の虫、Gが出やすいです。特に1階にゴミ捨て場がある物件や、すぐ近くにゴミ捨て場がある場合は発生リスクは必然的に高くなります。
いくつか物件に住みましたが、2階だとまだ出る、3階に住んだ時は幸運にも一度たりとも出ませんでした。2階の物件に住んでいた時はほとんど家にいる時間がなく、必然的に生ゴミも少なかったはずなのですが…。
まぁ隣の部屋が清潔かどうかとか、自分ではどうにもならない要因もたくさんあるのですが、似た条件なら3階以上の方が無難です。
もちろん高階層ほど家賃は高い傾向はありますが、一般的な一人暮らし用の物件なら階が1つ上がることに1000円程度の差です。(ただし1階は特別安い)
エレベーターの有無
エレベーター付きの物件は便利です。
先の条件に合わせて3階や4階に住むと、頻繁に昇り降りするのはけっこう疲れます。毎日通勤通学する方はもちろんのこと、ちょっとした買い物や買い忘れ、ポストや宅配ボックスを見忘れた、などで1階に行きたいとき、疲れている状態だと階段はなかなか堪えます。
また、重い荷物を運ぶ時が大変です。机や椅子、扇風機などの中型家電は自分で運ぶこともあると思いますが、4階まで持って運ぶのは細身の人間にとってはけっこうシンドイ。
エアコンや冷蔵庫を買って業者に運んでもらう場合も階段だと追加料金がかかることもあります。
建築基準法では高さ31m超の建物にはエレベーターの設置義務があります。これはマンションだとだいたい10階建てくらいになりますが、実際は5階建て以上の物件ならエレベーターが付いていることが多いように感じます。3階建てや4階建てでエレベーターが付いているケースはほとんどみかけません。
エレベーターがほしいなら4階建て以下の物件は切り捨てていった方が効率良く物件を探せます。
エアコンはあるか、新しいか
首都圏の夏は暑いです。というか今や日本中の夏が暑いです。四季(春夏秋冬)がなくなって二季(夏夏夏冬)になったと言われるほどです。
エアコンが付いているかどうか、付けるスペースはあるかはしっかりチェックしておきましょう。
エアコンがあっても古すぎるものは要注意です。古いものほどもともとの電力効率が悪いうえに、経年劣化によってさらに効率が悪くなります。家賃が安くても電気代がかさんでしまうのでは結局あまり変わりません。さらに夏場に壊れてしまった場合は取り換え工事が終わるまで2週間とか住めなくなります。
エアコンの製造年はエアコン自体に貼ってあるので確認しておきましょう。なおエアコンの寿命は一般的に10年程度です。
この辺は家主もけっこう気を使っていて、貸しに出す際にエアコンだけは新しいものに替えている物件もちらほらみかけます。また、取り外したり運ぶコストが大きいため、前の借主が付け替えた比較的新しめのエアコンをそのまま置いていってくれるケースもあります。
ペットの可不可
ペットを飼う人はもちろんですが、飼わない人でもペットの可不可は気にしておいた方が無難です。(たいてい禁止ですが)
そもそも私は人間の勝手な都合で動物を閉じ込めて行動を制限する、みたいなことをあまり快く思ってはいないのですが、それはそれとして他人の都合でワンワンニャーニャー聞こえてくるのが気になる人もいるでしょう。
※食べるために命を奪うとか、危険なので排除するとかはもちろん必要だと思っています。生きるというのはそういうことなので。
ゴミ捨て場はどこか
ゴミ捨て場の場所もチェックしておきましょう。ゴミ捨て場まで遠い物件もありますし、近くにあっても雨の日にゴミを出しに行くのに気にならないような場所にあるかも重要です。
ただあまり建物に近すぎると虫が湧きやすいというのもあって難しいです。
理想は建物の敷地内の、建屋からは少し離れた場所です。
入居するまでにはゴミ出しのルールも把握しておきたいですね。
インターネット無料の物件は避ける
これは人によるというか、インターネット回線をどの程度使うか、仕事で使うのか遊びで使うのか、ガッツリ上り下り使うのかとかによっても変わってくるのですが。
インターネット無料の物件ということは、「すでに開通工事が済んでいて、通信会社や利用プランが決まっている」ことを意味します。
貸し主としては当然安いプランにしておきたいわけで、必然的に回線速度や安定性の低い契約になっているケースが多いと聞きます。
使いたいときにインターネットが繋がらない、Youtubeで動画を視聴したらカクカクする、といったことが嫌なら回線やプロバイダーは自分で契約した方が無難です。
工事が面倒だったり、インターネット無料物件い住んでみたけど思ったよりひどかった、という場合にはモバイルルーターを使うという方法もあります。
日本はIT後進国ということもあって、物件の貸し主や不動産屋のIT知識がズタボロなケースも多いです。(僕らは最低限義務教育でも習ってますが、お年寄りはそうでない。特に終身雇用世代は一度会社に入ると一部のキャリア組以外はそれ以上学ぶインセンティブが働かないので、認識が30年前とか40年前のままの人も多いです。)
これはもう構造的にどうしようもないので、インターネット回線が重要な人は自分で契約しましょう。
1階が飲食店の物件は避ける
わりと有名な話ですが、1階が飲食店、特にラーメン屋や定食屋といった外食のお店だと、建物内に虫が住みつきやすいです。えぇ、あの「人類の敵」です。
また、すぐ隣がラーメン屋だったり、飲食店のゴミ出しスペースがすぐ近くにある物件もやはり虫に悩まされる可能性が高いため避けた方が無難です。
特殊な間取りではないか
間取りが特殊だと使いづらい場合があります。
例えば部屋の形そのものがよくある長方形ではなく台形になっている、つまり一部の壁が斜めになっている場合、斜めの壁というのは使いづらく、部屋面積を十分に活かせなかったりします。
壁が不足するパターンというのもよくあります。よくある壁が2面使える間取りではなく1面しか使えない場合、ベッドと作業デスクのどちらかを置いたらもう壁がない…ということになりかねません。玄関側の通路とクローゼット、ベランダの扉がそれぞれ別の壁にあって3面埋まっている間取りなどがこのケースです。
▲特殊な形の物件。斜めになっているのがトイレやお風呂で、部屋そのものは正方形に近いのでまだマシな方ですが、この間取りだとキッチンはすごく使いづらそう。部屋もフリーの壁が1面しかないのでベッドを置くと埋まってしまう。
また、もともとユニットバスだった物件を強引にバス・トイレ別にしたことで、風呂場やトイレ、洗濯機置き場、冷蔵庫置き場などが調整を余儀なくされ、「なんでそんなところに!?」という位置にある場合もあります。
また、間取りを見る際のポイントとして、バス・トイレなどの仕切られた空間が隣の部屋との間に配置されているかどうかもチェックしておきましょう。
隣の部屋との間に仕切られた空間がある場合は、その空間があることによって遮音性がかなり高くなります。電話などの空気音であれば、1つ空間を挟めば、そのさらに隣の部屋まではほとんど聞こえなくなります。
定期賃貸借の物件はちょっと悩ましい
最近はサイトでもチェックできますが、通常の「一般賃貸借契約」ではなく「定期賃貸借契約」の物件があります。
これは平たく言えば一定期間の貸し出し契約です。
一般的には居住用賃貸物件は2年契約となっており、「一般賃貸借契約」では契約期間を超えても住み続けたい場合は契約の更新が可能です。この契約の更新は正当事由、平たく言えばよほどのことがない限り、大家側が断ることはできません。
それに対し「定期賃貸借契約」の物件は契約の更新ができません。つまりあらかじめ定められた契約期間(たいていは2年)を超えると、そのまま住み続けたかったとしても出ていかなければいけません。
もちろん大家側もまた貸したいと言ってくれれば、契約の更新ではなく、新たに結びなおすこと(再契約)で再び借りることは可能ですが、前提として契約の更新を想定していない物件ということです。
これはまぁ微妙なところで、ぶっちゃけ日本では不動産の賃貸借において借りる側が法的に有利すぎて、多少家賃を滞納しようが迷惑行為を繰り返そうが、強制退去させるのは非常に難しい(ほぼ無理)です。
そういう背景があって出てきたのが「定期賃貸借契約」で、これならもしも入居者がとんでもない人だった場合でも、最悪でも契約期間を超えれば出て行ってもらうことができます。大家側のリスクが少ないわけです。
もちろん字面通りの使い方、例えば大家さんが2年間海外に住んで、戻ってきた後はその物件に住む予定なのでその間だけ貸し出している、というケースもあるでしょうが、多くは上記の理由なのではないかと私は思っています。
ただし悪いことばかりでもありません。「定期賃貸借契約」の物件は借りる側の条件が悪くなる分、築年数が浅めだったり、エリアが良かったり、構造がRCだったりと、同じ家賃の「一般賃貸借契約」と比べて、物件そのものは良くなる傾向にあります。
また、問題を起こした入居者を退去させやすいため、入居者の質は一般賃貸借契約よりも高くなるはずです。
物が少なく引っ越しがさほど苦ではない、もともと色々な物件に住んでみたい、といった場合、2年ごとに定期借家を転々とするのも一考です。
近隣施設
物件選びで大切なのは物件そのものもそうですが、物件の周囲の環境・近隣施設も重要です。
コンビニ
基本的に割り高なのであまりコンビニに頼りすぎない方がいいのですが、なんだかんだ24時間空いていて日常的なものがなんでも置いてあるコンビニはその名のとおりコンビニエンス(手頃、便利)です。
特に日本のコンビニは扱っているサービスの種類が世界でも群を抜いています。カナダやオーストラリアなら時給3,000円は下らない業務内容だと思います。
お弁当やお菓子はもちろん、揚げ物、コーヒー、電子マネー、コピー機やATMも置いてありますし、荷物の発送や受け取り、税金や公共料金の支払いなんかも扱ってくれています。
スーパーマーケット
自炊をするなら必須。惣菜も置いてあるので自炊をしない人でも近くにあると便利です。
一切自炊をしないならオリジン弁当とかほっともっとみたいな弁当屋でもいいですが、やっぱりスーパーは近くにほしいです。
郵便局・運送会社
なんやかんや使います。
ヤフオクやメルカリで不用品を売るようになると本当によく使いますし、気軽に発送できれば要るか要らないか迷ったものはとりあえず買ってみて、不要ならメルカリで売るといった形で生活に取り込めるので便利です。
また、大きな郵便局ならゆうちょ銀行が、小さくてもゆうちょのATMくらいは置いてあるのでこれも便利です。
地銀の支店はほぼ首都圏にはありませんので、ゆうちょ銀行は地方で使っていた口座を首都圏に引っ越し後もそのまま使える貴重な存在です。
銀行
会社員なら給与振り込みの銀行が指定されていたりしますし、フリーランスなら生活費用の口座と事業用の口座は分けておいた方が楽です。
なのでゆうちょ銀行のほかにもう1つ銀行はあると便利です。まぁ今の時代ネット銀行があるので重要性は下がってはいますが。
ホームセンター
DIYまでいかなくても、ちょっとした棚を買ったり突っ張り棒を買ったり、そういった小物家具を揃えやすいです。
頻繁に行くものでもないのですが、近くにあると気軽に行けるので、生活の小さな改善をしやすいです。
内科
滅多に行きませんがわりと重要。
というのも、かつて自宅で40℃近い高熱を出して寝込んだことがあります。身体中の関節・筋肉が痛くて喉も息を吸うだけで痛い。そんな体調で遠くの病院まで行く方が体調に悪そうなので、とにかく家で寝ているしかありませんでした。
近くに内科か、せめて薬局があれば解熱剤なり咳止めなり買ってこれるのですが、遠いと地獄です。
これである程度めぼしい物件が絞れたら、Googleストリートビューで実際に建物の外観や周辺環境・駅までの道のりを確認しておくことをおすすめします。
妥協ポイント(私の場合)
物件探しでは、希望条件と同じくらい、自分が妥協できるポイントというのも重要です。
何もかも完璧な物件は存在しますが、みんなが求めるものはやはり高いです。自分が妥協できるポイントを明確にしておけば、そのぶん生活コスト(家賃)を下げられますし、物件自体も探しやすくなります。
3点ユニットバス
昭和に流行った風呂・トイレ・洗面台がセットになったタイプです。ここを妥協できれば候補物件が爆増しますし、家賃もググッと下がります。
最近の物件はどれも風呂トイレ別が当たり前で、独立洗面台があるかどうかがポイントになっているようですが、3点ユニットは慣れれば案外平気だったりします。ぶっちゃけ3点ユニットは機能面の問題ではなく、「なんとなく嫌」という心理面の問題が大きいためです。
もちろん私も最初はめちゃくちゃ抵抗がありましたが、風呂トイレ別かどうかで家賃が1万円くらいは変わるので、腹を決めて住んでみたところ全然気にならなくなりました。
むしろ3点ユニットはすべてがバスルームに統合されているので、トイレ自体や床の掃除の際もシャワーで流しながらブラシでこするだけで済むため、なんなら楽まであります。
ただ、前述のとおり最近の物件であえて3点ユニットバスにするものは少ないため、ここを妥協すると後述の築古物件も同時に妥協する必要が出てきがちです。
築古物件
ここが妥協できるのは私がRC造のマンションを前提に探しているためなのですが、RC造マンションなら築古物件は機能や安全性よりも、やはり心理面の問題が大きいです。
というのもRC造マンションは30年くらい経っていたとしても、建物そのものはほとんど劣化していないことが多いからです。実際、国税庁による法的な耐用年数は事務所と比べ耐用年数が短めに設定されている住宅用のものでも
- 木造:22年
- 鉄骨造:27年または34年(骨格材の太さによる)
- RC、SRC造:47年
となっており、RC造は税務会計上の法定耐用年数でさえ47年もあります。
この税務会計上の法定耐用年数というのは一般的な感覚からすると短めに設定されており、実際に家電では
- 家庭用エアコン:6年
- 冷蔵庫・冷凍庫(電気式):6年
- 洗濯機:6年
といった具合です。
でも「白物家電は10年」というように、みなさんそれ以上使いますよね。これはあくまで税法上の決まりであって、実際の寿命は法定耐用年数より長いのです。
建物も同じで、国土交通省の報告書によれば、RC造住宅の平均寿命は68年、さらにRC造の構造物の物理的な寿命は117年と推定されています。
▲RC造(コンクリート)の寿命に係る既往の研究例(https://www.mlit.go.jp/common/001011879.pdf)
我々が築古と呼んで敬遠している30年40年くらいは、実は建物の構造自体としてはへっちゃらなわけです。
ただし、地震大国日本ではたびたび建築基準が見直されており、安全性を考えると1981年6月1日以降の新耐震基準を満たした物件を選んだ方が無難なのは先に述べたとおりです。
築年数がそれなりに経過していても、内装がきれいに直されていれば気にならない人は多いのではないかと思いますので、敬遠している方はぜひ古い物件も1つ内見に行ってみることをおすすめします。
また、設備面はどうしても古いものが多くなる点には留意が必要です。(特に水回りの違いは大きいため、妥協できるものかどうかしっかりチェックしましょう。)
ほかに気になる点としては、古い物件ほどどうしても虫が出やすいというのはありますが、ぶっちゃけ集合住宅であればヤツはいます。築3年以内とかでもない限りいるものだと思って殲滅兵器コンバットを持って行った方がいいでしょう。(マジで効きます)
駐車場、駐輪場なし
ここもかなり人によるとは思うのですが、リモートワーク・在宅ワークであれば外出の必要性自体は少ないはずです。サイクリングやツーリング、ドライブが趣味の方は外せない要素でしょうが、私の場合はなくても平気でした。
駐車場がある物件だったとしても、駐車場代は家賃とは別でかかるケースがほとんどです。首都圏ではほとんどの場合、電車移動で事足りますので、利便性・実用性としてはここは妥協しやすいポイントかと思います。
オートロックなし
近年少し怪しいですが、日本はまだ他の中進国と比べて極めて安全性が高い国です。正直セキュリティ過剰な気がしますし、オートロックは設備の維持にお金がかかってしまうぶん、どうしても家賃や管理費に費用が乗ってきてしまいます。
ただ、私の条件(RC造、3階以上、エレベーター付き)だと、オートロックも付いてきてしまうことが多いため、あんまり妥協ポイントとしては役に立ちませんでした。
一応、変な営業や勧誘が入ってきづらいのはありがたいです。(オートロックでなければ新聞とNHKと宗教はだいたい来ます。まぁ日本の場合これらは似たようなものですし。)
宅配ボックスなし
宅配ボックスは便利です。便利なのですが、あんまり使えません。
これはその物件の総戸数にもよるのですが、例えば60戸あるマンションでも宅配ボックスは10個だけだったりします。みんながすぐに取り出してくれるわけではないので、だいたい全部埋まってます。
これが重要な方はなるべく総戸数が少なめのマンションを選び、内見の際に空いている宅配ボックスがあるかも確認しておいた方が無難です。
使えない設備ぶんも家賃に反映されていると考えると大変もったいないです。